元NHK解説委員(芸術・IT担当)の中谷日出氏がナビゲーターとして、まったく新しい表現や作品、現象、最先端のメディア研究について解説する新芸術解説番組「木曜新美術館」にイラストレーター・メカデザイナー・マクロスビジュアルアーティスト・声優など多才な活動をしている天神英貴(てんじん ひでたか)氏が出演しました。
今回のスペシャルインタビューは「木曜新美術館」と「三井不動産未来特区」のコラボ動画としてYouTubeに配信されました。ちなみに「三井不動産未来特区」は三井不動産創立80周年記念事業『未来特区プロジェクト』により「生存特区」「コミュニュケーション特区」「クリエイター特区」という三つの特区が構築されました。
リアルとデジタル、さらに双方を組み合わせた多様な「場」でクリエイターとファンとのマッチングを実現する「共創の場」としてのプロトタイプである「クリエイター特区」の中にある「“UN/BUILT”ギャラリー」では日仏で活躍する13名のアーティストが製作したデジタルアートが展示されました。
この記事ではクリエイター特区で名作「オネアミスの翼」を描いた天神英貴氏にマルチな活動をすることになったきっかけやNFTについての印象をインタビューしたWebTVの配信内容についてご紹介します。
天神英貴氏は昭和48(1973)年10月13日に誕生し、3歳の頃には紙とペンを渡しておけば、静かに絵を描き続けている手の掛からない子供だったそうです。子供時代は子供向けテレビ番組を見る一方、8歳上のお兄さんの影響で宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダム、StarWars等のハイティーン向けの番組も見ることにより幅広い文化を一度に吸収出来たと語っています。
マジンガーZ、ガンダム、マクロス等を見て育ったロボット大好きの天神氏はロボット工学専攻を目指し東京にある芝浦工業大学に入学するものの、ロボット工学における物理が難し過ぎてロボット工学を挫折してしまいます。
そんな折、大学にあるAmiga、Lightwaveといったソフトウエアに偶然触れる機会があり、たちまちCGの魅力に取り憑かれます。そして、まだ日本ではあまり普及していなかったそれらソフトの英語のマニュアルを読み漁り勉強したそうです。
当時、芝浦工大の学祭委員長をしていた天神氏は学祭のオープニング映像を自ら3週間大学に泊まり込んで作成し、その映像がたまたま来場していたCNNネットワークの方の目に留まり、CNNニュースとしても報道されることとなったのでした。
天神氏の制作した映像作品がCNNでニュースになったことは学内で話題となり、高い評価を得たもののロボット工学とは無関係の出来事であった為、ロボット工学の卒業先としては(映像系の)就職に結びつく事はありませんでした。
その後、天神氏は大学で履修していたHTMLの知識を活かしホームページを作成するようになりました。そして、作成したHTMLが目に留まったことにより、それに関係した仕事を依頼されるようになったそうです。
そして、3Dを使って仕事をしている時期に当時大ヒットしたハリウッド映画「インディペンデンスデイ」のメイキング映像を見て、モデリングの作業がアメリカではすでに模型や本物をスキャニングしていることを知り、この仕事は将来淘汰されるのではないかと恐怖感を覚えるようになりました。
また、3DをPhotoshopで修正するためにレタッチする作業をしている際には、レタッチする割合が増えれば増える程ゼロから絵を描いた方が早いのではないかと感じるようになり、イラストをペンタブレットで描くようになったそうです。そして、最終的にはソフトでイラストを描くことが収入に繋がるようになったそうです。
メカニックデザインに関しては子供時代からの憧れがあり、メカニックデザイナーとして「スタジオぬえ」に入ることを希望していたのですが、「スタジオぬえ」のメンバーの方々と実際に会ってみると、メンバーの方々がとてもエキセントリックな為、「スタジオぬえ」でお仕事をすることを断念したそうです。
声優業について質問されると、様々なことに興味にあった天神氏はいろいろな人生を演じることの出来る役者人生が自分の持つ多彩な興味を満たしてくれるのではないかと思い、役者業を目指すつもりであったと話しています。そして、大学時代には養成所巡りもしていたそうです。
しかし、養成所にはお金が必要な為、大学時代は養成所に入らず、卒業後アルバイトのお金を貯めたり、イラストで収入が出来るようになってから養成所に入り、20代前半に事務所所属の役者になったそうです。
イラストの仕事と役者の仕事は同時進行に始めた仕事であり、イラストレーターが副業で役者を始めたわけではないそうです。また、役者のスキルがイラストを描くことに活かされることも多くあり、演劇理論をイラストの構成に反映させることもあるそうです。そして、表現するという意味ではイラストレーターも役者も同じだと理解してからは芝居の奥深さに益々惹かれ、今でも毎週芝居のレッスンを続けているとのことでした。
↓天神英貴マクロス画集『VALKYRIES』
アニメムック光文 天神英貴マクロス画集「VALKYRIES」↓『スター・ウォーズ 天神英貴 ボックスアート・コレクション STAR WARS:The Box Artistry of HIDETAKA TENJIN』
単行本(実用)<<芸術・アート>> スター・ウォーズ 天神英貴 ボックスアート・コレクション STAR WARS:The Box Artistry of HIDETAKA TENJIN最近のお仕事のひとつとして四足歩行ロボットのデザインの話題がされました。人を乗せることの出来る四足歩行ロボットのデザインを三精テクノロジーさんの依頼でしたそうです。三精テクノロジーさんは東京●●ランド等のレジャーランドに機械を搬入している会社だそうで、道路交通法も関係無いことから、アトラクションとして近い将来ロボットに乗れるのではないかとお話していました。
今回制作したNFT「オネアミスの翼」はスカイフォール社の植田益朗氏(劇場版「機動戦士ガンダムⅢ」のプロデューサーを担当し、サンライズでは常務取締役まで就任し、2000年に退職。サンライズ退職後はいくつかの会社の役員を就任した後、2018年にスカイフォール社を設立しました)から依頼されたそうです。
天神氏は植田氏からの依頼の裏テーマである「都市の成り立ち」を踏まえ「王立宇宙軍オネアミスの翼」を青春群像劇として捉えて、街に若者が集い、人が集まればそこには交通機関があり、交通機関があれば出会いがあり、人の出会いによって愛や憎悪など様々なものが生まれ、その出会いによって生まれたものが街の構成要素を生み出すと解釈したそうです。
そして、その街の構成要素を生み出すエネルギーが街の近代化となり、街の移動手段は地上から空へと移り始め、また、街という集団の発展が国家という形になり、それぞれの国の文化の違いが国と国との争いにも繋がってしまうということと同時にアニメ「オネアミスの翼」で表現されているであろう宇宙開発の背後にある宗教観をイラストに描いたそうです。
三井不動産未来特区プロジェクトのHPではNFTについて更に深掘りされたインタビュー『王立宇宙軍 オネアミスの翼』を新作NFTアートへ描いて見えた価値(天神英貴インタビュー)が掲載されています!
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