木曜新美術館 x 三井不動産未来特区コラボ 美樹本晴彦スペシャルインタビュー 感想

リンミンメイビクターポスター画像 おっさんホイホイ

元NHK解説委員(芸術・IT担当)の中谷日出氏がナビゲーターとして、まったく新しい表現や作品、現象、最先端のメディア研究について解説する新芸術解説番組「木曜新美術館」にマクロス、ガンダム、トップをねらえ、甲鉄城のカバネリなどのキャラクターデザイナーとして有名な美樹本晴彦氏が出演しました。

美樹本晴彦氏画像
「木曜新美術館」より

今回のスペシャルインタビューは「木曜新美術館」と「三井不動産未来特区」のコラボ動画としてYouTubeに配信されました。ちなみに「三井不動産未来特区」は三井不動産創立80周年記念事業『未来特区プロジェクト』により「生存特区」「コミュニュケーション特区」「クリエイター特区」という三つの特区が構築されました。

リアルとデジタル、さらに双方を組み合わせた多様な「場」でクリエイターとファンとのマッチングを実現する「共創の場」としてのプロトタイプである「クリエイター特区」の中にある「“UN/BUILT”ギャラリー」では日仏で活躍する13名のアーティストが製作したデジタルアートが展示されました。

この記事では美樹本晴彦氏にアニメーション制作に関わるようになったきっかけやNFTについての印象をインタビューしたWebTVの配信内容についての感想を述べたいと思います。

美樹本晴彦氏は昭和34年(1959年)東京都出身です。本名は佐藤晴彦氏。「美樹本」姓はあだち充先生が昭和55年に連載していた漫画「陽あたり良好!」の登場人物、美樹本伸からと言われています。

幼少の頃はひとりっ子だったこともあり、のびのびと育ち、「鉄人28号」や「スーパージェッター」の模写をしていたそうです。お小遣いを使って自分で漫画を買えるようになってからは秋田書店の「サイボーグ009」のコミックを買っていたとのことですが、インタビュー時の今でもスラスラと巻数の内容を説明していますので大ファンだったのでしょうね。

美樹本氏は高校受験を経て、見事に名門私立高校の慶應義塾高校に入学しました。このインタビューの中では当時、法学部が有名だった大学の附属高校も合格していたと語っていますので、中大附属高校か中大附属杉並高校にも合格していたと思われます。

慶應義塾高校では内部進学組のマクロスの監督で有名な河森正治氏、カーデザイナーの原田則彦氏オガワモデリングの小川正晴氏(漫画家の細野不二彦氏、脚本家の大野木寛氏は高校からの外部入学組)と出会うことになります。すでに中学時代から出来上がっていた河森氏達のアニメ・メカ好きのグループへは高校1年生の後半頃から合流したと語っています。当時の美樹本氏はノートの片隅に落書き程度のイラストを描いていた程度だったので他の方々の圧倒的な画力の高さと枚数に驚いたそうです。

大学生になると河森正治氏は「スタジオぬえ」に出入りするようになり、細野不二彦氏はプロとして漫画を描くようになったので、美樹本氏は河森氏と一緒に「スタジオぬえ」へ行ったり、細野氏の原稿のベタ塗りの手伝いをしていたそうです。

そんな折、「スタジオぬえ」でのオリジナル企画のキャラクターデザインをやってみないかと細野氏と二人が声をかけられたものの、今までキャラクターの顔しか描いていなかった美樹本氏はまずは全身像の絵を描くことから練習を始めたとのことでした。そして、当初のオリジナル企画からマクロスへと企画が変更されたことにより、美樹本氏は練習もそこそこにマクロスのキャラクターデザインをしなくてはいけなくなったそうです(そう言えば、マクロスが放映開始時頃に描かれた一条輝の全身像のイラストが顔の大きさと体の大きさがちょっとアンバランスだったことを思い出しました)でも、女性キャラクターの顔の可愛いさは当時のアニメキャラクターの中ではピカイチだったのではないでしょうか?

リンミンメイ下敷き画像
マクロス放映時のグッズ用に描かれたイラスト

↓1983年アニメージュ9月号。当時の美樹本氏のセル原画の表紙。やっぱり可愛いですね。

アニメージュ付録無)アニメージュ 1983年9月号

本人が「生涯の非常に大きなきっかけの一つ」と言う「マクロス」への参加後、学生時代から大ファンだった「ガンダム」にも参加することになります。美樹本氏は安彦良和氏のキャラクターを模写しまくっていただけあって、ガンダム世界のキャラクターとして全く違和感の無いキャラクターデザインを当時発表していたと思います。

閃光のハサウェイ表紙イラスト
「閃光のハサウェイ」(角川スニーカー文庫)イラスト

インタビューの後半ではイラストにおける美樹本イズムについて問われているのですが、その中で安彦良和氏の模写をする前にしていた少女漫画の模写が原点にあると述べています。確かに最近の絵柄を見ると少女漫画に通ずるものがあるような気がします。

↓2012年発売の「超時空要塞マクロス 」Blu-rayBox Complete Edition [初回限定版]のBoxアート。だいぶ放映当時に描かれていたマクロスのキャラクターとは雰囲気が違っていますね。個人的には80年代の美樹本氏の画風の方が好きです。

アニメBlu-ray Disc超時空要塞マクロス Blu-rayBox Complete Edition [初回限定版]

↓同じく2012年発売の「トップをねらえ」 Blu-rayBoxのBoxアート。

アニメBlu-ray Discトップをねらえ! BD-BOX

美樹本氏はキャラクターを記号化しなくてはいけないアニメーションは得意ではなく、ちょっとした仕草などの雰囲気を活かすことの出来るイラストレーションの方が好きだと述べています。美樹本氏の最近の作品にある少女達のイラストは確かに雰囲気重視のような気がしますね。未来特区プロジェクトでは美樹本晴彦氏の作品「無限通学路」が紹介されています。

無限通学路画像
インタビュー中で紹介されたNFT作品「無限通学路」。最近の絵柄が感じ取れます。

↓2018年発売の美樹本晴彦キャラクターワークス。画力は80年代よりも遥かに上がっているのですが、昔の絵柄が好きなのは自分だけ?

アニメムック美樹本晴彦 キャラクターワークス

美樹本氏も若い時代のイラストを見ると若さや勢いを感じることもあると述べているのでそれぞれの時代時代の絵柄に愛着があるようですね。

こちらは配信では紹介されませんでしたが、美樹本晴彦氏の最新作品。武蔵野坐令和神社「鎮座記念祭」奉納画 です。

武蔵野坐令和神社「鎮座記念祭」奉納「天照大御神」掛軸 美樹本晴彦(2022年Ver.)として掛軸がカドカワ公式オンラインサイトで販売されています。

カドカワ公式オンラインストア

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