先日、まんだらけで開催された117号大オークション大会ではたくさんの商品が出品されましたが、松本零士先生の特集に関連してか、松本零士先生の愛弟子である新谷かおる先生をフィチャーした島本和彦先生の同人誌「新谷かおるになる方法」(なんと!もう23年前発行の同人誌です!)も出品されていました。
「新谷かおるになる方法」は新谷かおる先生、島本和彦先生のお二人の大ファンである自分にとっては手放すことの出来ない貴重な一冊ですので、この機会に本棚から取り出して久しぶりに読み返してみました。
ちなみに島本和彦先生は、先生自らがおっしゃっているように漫画家としての卵時代(「風の戦士ダン」連載デビュー前)に当時、新谷・島本両先生の共通の編集者であった小学館編集の三上氏と共に新谷かおる先生の仕事場へ連れて行かれ、新谷先生から直々にカラー原稿の色の塗り方を教えてもらっています。
この件については「新谷かおるになる方法」のあとがきに、新谷先生と初めて出会った経緯として簡単に書かれていますが、「アオイホノオ」ではエピソードとして詳しく描かれています。
本年2月にNHKで放送された「漫勉」(島本和彦)の回では島本先生のカラー原稿の執筆風景が放送・説明されていましたが、「アオイホノオ」での新谷先生から色の塗り方を教えてもらう島本先生のエピソードを読んでいるので、実際に島本先生の作業の映像を見ると不思議な気持ちになりました。
このように「新谷かおるになる方法」(2000年8月11発行)には、後に連載される「アオイホノオ」(2007年不定期連載開始)で描かれる新谷かおる先生の破天荒?なエピソードのいくつかが「新谷かおるちょっといい話」としてコラム形式で紹介されていますが、「アオイホノオ」では描かれていない貴重なエピソードも多く、新谷かおる先生ファンも知らないようなエピソードもあります。
↓「アオイホノオ」での新谷先生のエピソード描写は新谷先生お墨付き?
まえがき冒頭には
『この本は、私が新谷薫氏に出会い、目撃し、話し、聞き、またさまざまな書物を読み、記事を読み、インタビュー関連の書籍類を読み、また編集者等を通して得た情報や、怪しげな噂などをすべてひとつの知識としてその真実性はともかく、魅力的な伝説として取り上げられるもののみをピックアップし、ひとつにまとめると果たしてどのような人物像が出来上がるのだろうかというスタンスで書き上げられたものである。』
と書かれています。
そして、
『決して全部が全部「事実である」わけではない事をまず最初にお断りしておこう。 (中略) 逆に事実でない単なる噂でもその人を表現するにふさわしい、ふさわし過ぎる「エピソード」もやはり存在するわけで、それもかなり捨てがたいことである。ゆえにこの本の中身にかかれている内容は事実もかなり含まれているはずであるができるだけ「話し半分」の姿勢を崩さずに読んでいただきたい。』
とあります。
なので、全てのエピソードが事実というわけではないようですが、新谷先生と島本先生の直接の会話や出来事は事実とも思われるわけで「話し半分」以上のスタンスで読んでも構わないと言えるでしょう(笑)
誌上で紹介される松本零士先生のアシスタント時代のエピソードのひとつに、「宇宙戦艦ヤマト」TVシリーズ第1話のワンシーン(古代と島が敵機を迎撃に向かうシーン)についての松本零士先生と新谷かおる先生のやりとりも紹介されていますが、そのシーンは現在YouTube で無料公開されているHDリマスター版「宇宙戦艦ヤマト」第1話で確認が出来ます。
(追記)
「ゴジラ-1.0」の震電離陸シーンはこのシーンのオマージュではないでしょうか?
島本和彦先生によると、新谷かおる先生について、松本先生のアシスタント時代に吸収した(元々が松本零士先生と同じような気質でありましたが)松本零士先生エッセンス、そして、2年前の2021年にお亡くなりになった奥様であり少女漫画家の佐伯かよの先生エッセンスが融合、発酵、熟成したものが新谷かおる先生のエッセンスだと書かれています。
そして、新谷かおるエッセンスのもうひとつ大きな特徴が「ウンチク」だと紹介しています。新谷先生は「ウンチク」に美学を組み込んでキャラクター達に語らすことによって説得力を倍増させると島本先生は説明しています。
確かに「ふたり鷹」で緋紗子さんが語る「美容師のシャンプーの心構え」は物語には直接関係しないものの、いつまでも忘れられないシーンです。
最後は新谷かおる先生のサインの描き方の解説がありますが、さすがに実際に練習する人はいないでしょうね(笑) (実際のサインと比べると微妙に違いますネ)
「新谷かおるになる方法」を未読の方は是非とも手に取って読んでみることをオススメします!
(追記)
先日、島本和彦先生が開設したYoutube「島本和彦のZEKKYO大学」にて新谷先生の仕事場へお邪魔した際のお話がちょろっとされていました!
2001年から北海道のSTVラジオで放送されていた「島本和彦のマンガチックにいこう!」の「エリア88」特集(2003年2月1日・8日放送)では島本先生の美声で「新谷かおるになる方法」でも紹介された新谷先生のエピソード等をいくつか紹介してくれています。
20年前の貴重な音源をYoutubeにアップして下さった魔法遊戯さん、ありがとうございます!
(追記の追記)
先日の島本和彦先生のYouTube「島本和彦のZEKKYO大学」にて新谷かおる先生が特集されたことにより、この記事のアクセスがとんでも無いことになっています。是非、皆さんも「新谷かおるになる方法」を入手することをオススメします!(23年前の同人誌ですが…)
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