少年サンデー 小学館
昭和56(1981)年44号〜昭和60(1985)年32号
少年サンデーコミックス全19巻
作者
新谷かおる先生の本名は新谷薫さん。昭和26(1951)年大阪府豊中市の出身です。
1972年「りぼん」漫画賞佳作入選した後「吸血鬼はおいや!?」でデビューしました。
1973年 第1回りぼん新人漫画賞を準入選した同じく漫画家の佐伯かよのさんとご結婚。(奥様、佐伯かよのさんは昨年8月にご逝去なされました。慎んでご冥福をお祈りします)
結婚後、奥様、佐伯かよのさんが偶然拾った少年サンデーに掲載されていた「松本零士先生アシスタント募集」に応募をし、松本零士先生のアシスタントとなりました。アシスタント中に松本零士先生から多大な影響を受けながら、一方、松本零士先生の代表作品「宇宙海賊キャプテンハーロック」ではいつでもプラモデルを作っている副長ヤッタランのモデルとなっています。
1978年史村翔先生原作にて「ファントム無頼」を連載開始。
1979年「エリア88」を連載開始。
上記の戦闘機アクションを題材とした作品でヒットを飛ばし、一躍人気漫画家となりました。
代表作
「戦場ロマンシリーズ」「ファントム無頼」「エリア88」「ふたり鷹」「バランサー」「クレオパトラDC」「ガッデム」等、たいへん多数の作品があります。
物語
同じ病院で同じ日に出生した沢渡鷹と東条鷹。新生児の際に病院の火災により着ていたそれぞれの名前付きの産着を取り違えられてしまいます。火災が発生した病院の医師であった沢渡鷹の父親はふたりの新生児を救助した際に亡くなり、妻、沢渡緋紗子はシングルマザーとして沢渡鷹を育てると同時に美容院を経営するカリスマ美容師となります。一方、東条鷹は大企業である東亜自動車の社長である父親に育てられ、二人の鷹はそれぞれの親からの愛情をたくさん受けて成長をしていきます。
高校時代から奥多摩等での走り屋としてオートバイを乗り回していた沢渡鷹はレース場をベースとして競技としてオートバイに乗る東条鷹との出会い、大学での自動二輪部に入部を経てサーキットレースの道を進むこととなります。
その後、沢渡鷹は大学での同級生の天才的メカニックエンジニア花園明美(男性)、後に恋人となるパット、先輩レーサー風羽正など多くの友人、仲間、ライバルと出会い、また、鈴鹿8耐久レース、デイトナ200マイルなどの多くのサーキットレースを経験し、人間的にもレーサーとしても成長していくのでした。
物語終盤では沢渡鷹と東条鷹は本当の親を知ることとなりますが、それぞれが育ての親こそが本当の親であると理解し、また、東条鷹の産みの母である緋紗子も沢渡鷹と東条鷹の二人の母親であることに苦悩しますが、今まで通り沢渡鷹の母親であることを確認をし、東条鷹と別れを告げます。
父親の事業を引き継ぐことを決めた東条鷹はレーサーを引退し、レーサーのパートナーであり、そして、恋人でもあるマリーと結婚することとなりますが、挙式当日、タクシーで式場へ向かう最中に交通事故に遭い、命を落としてしまいます。
マリーの命を奪った交通事故の原因がタクシーに激突したオートバイ車両の不具合であったと知った東条鷹は事故を起こさないオートバイを開発するという前人未到のミッションを掲げ、そのための開発チームとして、花園明美をチーフメカニックに、また、沢渡鷹をレーサーに採用し、オートバイレースの世界に戻って来ます。
そして、新規開発されたオートバイ「バトルホーク」、新しくチームメンバーにデビッド・アルダナを迎え、ボルドール24時間世界耐久選手権に臨むのでした。
感想
新谷かおる先生のアシスタント時代、松本零士先生のアシスタントとしての経歴が有名ですが、若い頃はいろいろな経験をしているようです。
奥様の佐伯かよのさんとりぼん新人漫画賞を同時受賞した一条ゆかり先生のアシスタントをやはり奥様と同時受賞した「エリート狂走曲」の弓月光先生と一緒にメカ担当として描いていたというエピソードが昔に放送された「BSマンガ夜話」に出演していた一条先生から紹介されていました。
新谷先生の代表作と言えば「エリア88 」が、最も有名な作品かもしれませんが、個人的には自分が中学時代に大好きだった「ふたり鷹」が一押しです。
同じ病院で、同じ日に生まれたふたりが出生まもなく病院が火事となり、取り違えられそれぞれの親の元で愛情深く育てられ(「野球狂の詩」北の狼、南の虎じゃないですよ)、オートバイのレースを舞台にて会合するという、今思い出すとコテコテのストーリーですが、当時はヤマハやホンダ、スズキ、カワサキ等多くの日本のオートバイメーカーが凌ぎを削り、新谷タッチで描かれるそれらのオートバイはエリア88の戦闘機の描写に負けず劣らず素晴らしいものでした。
登場キャラクターもヨシムラの創業者の故吉村秀雄氏、モリワキの森脇護氏、二輪レーサーのデビッド・アルダナなど多くの実存の人物が登場して、作品のリアリティをアップさせていました。また、スターシステムを採用しているため、「エリア88」のミッキー・サイモンやフーバー(風羽)が同じ顔や名前で登場するのも人気がありました。
現代の若い人には信じられないかもしれませんが、当時は16歳になったら二輪免許を取得し、バイクに乗るということが若者の夢のひとつだったことは、「ふたり鷹」の影響が少なからずもあったかもしれません。(80年代バイク漫画と言えば、しげの秀一先生の「バリバリ伝説」、新谷かおる先生の「ふたり鷹」が代表漫画でした)
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